掛川駅

令和5年2月に仕事(駅前のマンション計画)で初めて掛川市を訪れました。現場着工後の9月ころからは月に2、3日程度通うようになりかれこれ2年半になります。
掛川市と聞いて皆さんはどんな印象を持たれますか。
かつて掛川藩の城下町、宿場町として東海道における大きな拠点として成長を遂げています。NHK大河ドラマ「功名が辻」の舞台となった地でもあります。駅前は静かな街並みを形成していますが少し離れたところには大手メーカーの工場や工業団地を構え、南側は掛川花鳥園などの観光スポットが有名な都市です。請願駅として昭和63年新幹線駅が開業、発展に一役買っていることに間違いはありません。掛川城を構える駅北口側は歴史を感じさせる町並みが広がり、JR北口駅舎は木造風の建物となっています。新幹線駅開業や東名高速掛川I.C開通後に開発が進んだ南口駅舎の近代的な建物の装いとは異なる印象を与えます。
今回、掛川駅北口周辺について掛川城を中心に紹介します。
街並みと掛川城
はじめて訪れたのは基本設計の段階で市役所や消防署等との打ち合わせのためでした。併せて街並みを知るため、本来なら公共交通を利用して移動するところをあえて徒歩で向かい、街を散策しました。しかし、着工後は現場での打ち合わせが終わると直近の新幹線に乗るため駅と現場の往来のみで周辺をあらためてゆっくり見ることはありませんでした。先日、現場検査後にふと思い立って同僚とご当地の名所である掛川城まで足を伸ばしてみました。
掛川城は駅より北へ向かった高台の街中を眼下におさめる位置にあり、まさに街のシンボルとして聳え立っています。新幹線ホームから眺めることができますが役所調査で訪れた頃は丁度改修工事中(令和4年6月から令和5年3月まで)だったためシートに覆われ、その雄姿を目にすることはありませんでした。着工のころには工事も完了しその真新しい白壁の外観を披露するようになっていました。
城下町
駅前から始まるメイン通りはほぼフラットですが近づくにつれ緩やかな勾配で城へアプローチ、景色も駅前の都市的な風景かから徐々に観光地へと装いを変えていきます。銀行や信用金庫の建物は城下町の街並みに調和した装いで、いずれも一見しただけでは用途が認識できませんでした。門前町として栄え、観光も盛んであると思われますが商店の中にはシャッターを下ろしたままの店舗も若干目に付き、少し寂しさを感じました。(水曜日に訪れることが多く定休日が多かったのかもしれません)
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清水銀行 |
島田掛川信用金庫 |
掛川市の景観条例
掛川城の周辺は城下町風まちづくり地区にあたり、景観を確保するための条例による規制があります。その一つに建物高さを標高72m以下に抑えるというものです。これは天守閣の高さが標高約72.3mあり、それを超えてならないというものです。駅の周辺ではどんなに高い建物でも地上約45m、階数でいうと15階建て程度に止まっています。
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天守閣より弊社設計物件を臨む(真ん中2件) |
10階から市街を望む(中央が掛川城) |
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弊社設計物件の 15階から |
同7階から |

10階からの夜景
ライトアップされている
掛川城を様々な場所から見てみました。15階建ての屋上から見た場合は背景に城後方の平地も一緒に見え、天守閣の高さを感じることができます。少しずつ見る高さを下げてみると平地は見えなくなり、変わって空が見えてきます。軒裏が見える程度の高さ、7階くらいから安定感がでてくるようになります。仰ぎ見ることで遠近法により土台基礎が近くに見え、その広がりが安定感を生み、同時に天守閣は遠のくことで高さを感じるようになります。視覚的に安定感と高さのある構図が壮大な印象を与えるものと推察されます。いずれも正面から対峙するより、少し斜めから見る方がより広がりが強調され、壮大な印象を感じました。今回見た中では、三の丸広場あたりから見上げるポイントがよかったと思いました。結論的には城の高さを感じたいなら高所から、城のどんと構える存在感を感じたいなら地上から見上げる、仰ぎ見るのが一番城らしく見えるのではないかというのが実感です。
なお、平成18年「日本100名城」に選ばれています。
掛川城の内部の写真です。
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天守閣 |
御殿次の間 |
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御殿御書院上の間(大書院) |
右下:廊下 |
おまけ 風が強い〜遠州のからっ風
建物の配筋検査は常に最上部で行いますが、季節は冬間近、11階まで進んだ頃から強く吹く風を感じるようになりました。機材が強風にあおられ、検査していても吹き飛ばされそうになります。関東でも西高東低の冬型の気圧配置や春先に強風が吹きますがその比ではありません。さらに北西の季節風は体感温度も気温より低く感じさせます。関東では上州のからっ風が知られていますが静岡県西部も強風が吹きやすい地形で「遠州のからっ風」として有名とのことです。

15階建物の屋上から

三の丸広場から
掛川名物2点
お茶どころとして知られる静岡県、中でも掛川茶は深蒸し製法のお茶として、そのブランドで名を馳せており、静岡茶といえば掛川茶を指すと思っていましたが掛川茶の生産量は静岡県内の1割程度とのことでした。ご承知のように静岡県は長年国内生産数第1位です。その約1割は全国第5位と同等の生産量とのことですので相当量の生産量を誇っているのは確かです。
(順位等は2024年のもの)

浜名湖に近いためうなぎパイは代表的な銘菓として知られていますが他に私の中の隠れた名産品をご紹介します。「掛川メロンパン」がそれで、ブログなどでも紹介されています。メロンパンによくあるパサつき感が少ないため食べやすく甘さはほどほどでおいしいです。妻は今ひとつと辛口評価、別の同僚に試食してもらったらおいしいとそれぞれ感想をのべていました。食の好みは人それぞれ、近くにお立寄りの際はご賞味ください。
駅の売店で買い求め、帰りの新幹線内で富士山を眺めながら掛川メロンパンを掛川茶で流し込み、帰社後の業務に備えお腹を満たしておくことにします。

新幹線車窓からの富士山
完











